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評者◆秋竜山
さまざまな人魚マンガ、の巻
No.3485 ・ 2021年02月27日




■人魚は上半身が人で下半身が魚である。空想上の生き物として大傑作だ。マンガに出てくる人魚に女性が多いのは、人魚の男性なんて絵にもならないし、つまらないからだろう。外国マンガにもよく登場する。やはり女性の人魚が多い。上半身と下半身を見くらべて、これを人とみなすか、魚とするか。だから人魚だろう。海で生息しているのだから魚か。人魚が陸で生息しているとは思えない。世界の人魚マンガを収集してみると面白いだろう。身体の形としては外国人も日本人もないと思う。それとも女性として、上半身は外国人の女性であり、さて下半身となった時、外国人の下半身となるのだろうか。日本人の下半身となるのか。マンガなどでは外国人の人魚は英語とか、その国の言葉を喋るが、日本の人魚は日本語だろう。
 本川達雄『ウニはすごい バッタもすごい――デザインの生物学』(中公新書、本体八四〇円)では、
 〈首がないと陸では大変困る。地面は凸凹しているから、足下をよく見て歩かないとこけてしまう。とはいえ進行方向に何があるかを見ていることはさらに重要で、敵はいないか餌がないかを常に見張っていなければならない。そこで時々足下を見ることになるだろうが、もし首がなかったら、足下を見るためにはエイヤッと逆立ちする必要がある。魚は水中に浮いているから、足下を注意していなくてもこけない。そもそも重力で地面に引かれるからこけるのである。水中生活においても真下の基盤に注意を向ける必要が出てくるかもしれず、その時は逆立ちするはめになるのだろうが、(重力に逆らう必要がないから)逆立ちも苦にならないだろう。水底の藻をついばんでいる魚たちはみな逆立ちしながら(平然と)食事をとっている。〉(本書より)
 私は魚を見るたびに思うことは、魚の正面は口と、鼻の穴しかない。目といえば、人間なら両耳の部分についている。魚は正面が見えるのだろうか。あの目で。側面しか見えないのでは。右と左。正面を見るのにどのような仕組みになっているのか。エイヤッと右と左に向きを変える必要があるだろう。
 〈ヒトのふつうの歩き方の前に、武士の歩き方を見ておこう。武士がすり足で歩く時には、腰を落とし、まず左足を踏みしめ、それを軸にして時計回りに回転しながら左側の手足を出す。この歩き方は、歩行に四肢の動きだけでなく胴の回転がともなっている。胴と四肢を一体にして動かす点では両生・爬虫類の歩き方と同じと言える。(略)重心の高さも常に一定。姿勢は安定し、また、腰と肩とは同じ方向に回転しているので、腰と肩の間にねじれが生じず、急に斬りかかられても、いい姿勢で刀を抜きつつ体を回転させて左右どちらの敵にもすばやくしっかりと向き合うことができる。(ここまでは古武術研究家の甲野善紀氏から実演つきでじかに聞いた話。)〉(本書より)
 フランス・マンガにこのようなのがあった。人魚をテーマにしたものである。海辺で男の潜水夫と、人魚が語りあっている。困った表情。まんなかに赤ちゃん人間。上半身が魚で下半身が足のついた人間。「あなた、こんな子供が生まれてくるんじゃないかと、私があれ程いっていたのに」。人魚マンガは相手が人間の男性が多い。本当に困った結果になってしまうようである。







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