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評者◆添田馨
現代権力論――権力悪を支えつづけるもの③
No.3447 ・ 2020年05月09日




■政府によるコロナウイルス感染症対策が後手後手に回り、わが国の大都市部でメガクラスター発生の危険性が日々高まっている。政府は四月七日に緊急事態宣言を発出したが、その後も死亡者数と新たな感染の判明者数はどんどん増え続けている。
 感染症の猛威で国民の生命が脅かされ、それに伴う休業要請でその財産までもが脅かされる正真正銘の国難に際し、先頭きって対処するはずの国による危機管理がほとんど機能していない。だがこうした結果は十分に予想されたことだった。この国の現在の政権が“張りぼて”だからである。
 私物化、忖度、お友達――現政権を揶揄するのに、このお手盛り三点セットはこれまでも何度となくメディアを賑わした。にもかかわらず、この構造そのものはいまだに残存し続けている。これら三点セットのそれぞれにはA面とB面があって、それらは相互に補強しあう関係にある。
 「私物化」におけるA面は、権力行使を公的な便益のためでなく、自身の私的な利便性のため違法に投入することを指すが、そのB面は実務的な行使者が最高権力者との共犯関係を構造的につくりだすことによって、忖度の土壌を生みだす点にある。
 「忖度」におけるA面は、官僚機構がみずからの行動規範を公的な要請から最高権力者の私的要請へと不法にシフトさせることを指すが、そのB面は最高権力者との共犯関係にみずから参入することによって、自分も権力者のお友達にしてもらう点にある。
 「お友達」におけるA面は、最高権力者との人的なパイプを情実によって強化することにあるが、そのB面はおのれの私的な要求を最高権力者の力を利用して合法的に実現させてしまうことにある。
 こうして私物化、忖度、お友達のトライアングルはそのA面とB面をメビウスの環のように取っ換え引っ換えしながら、みごとなまでに円環をとじて完結する。こんな“張りぼて”政権に、現実の国難に機敏に対処する統治能力が著しく欠落しているのはけだし当然だろう。
(つづく)







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