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評者◆添田馨
日本国憲法の肖像――改憲論の変容と護憲⑨
No.3435 ・ 2020年02月15日




■憲法改正の発議ができるのは国会だけであり、内閣総理大臣ではない。にもかかわらず総理大臣が憲法改正を主張するのは、明らかに憲法遵守義務違反であり無効である。憲法は国の最高法規だが、憲法制定権を有するのは主権者としての国民だけであり、建前ではなくこれが唯一の実体であることを覚えよ。
 為政者のこうした反逆行為によって憲法が改変される事態とは、従って体制内クーデターであり、すべての国民にはそれを阻止する義務がある。護憲行為の根拠がこの点に生じる。護憲はイデオロギーではなくプロテスト、つまり〈抵抗〉である。抵抗権(Right of Resistance)は憲法に明記はないが、自然権として主権者である国民個々に内在する。護憲とはその冷厳な行使に他ならぬ。
 国民が守るべきは自身の生命と財産であり、国家ではない。国家緊急権の源泉はその点にあり、国民の保護と救済のために発動される権力であって、国家やまして政府を守るための道具ではない。その政府が不法を犯し、憲法解釈を捻じ曲げ、その改変に手を染めようと画策する一方、それを阻止する公的手段がもはやどこにも存立せぬとき、それをよく果たし得るのは、国家に先んじて存在している国民個々の終極の権利形態としての抵抗、つまり〈革命〉である。
 革命権(Right of Revolution)も憲法に記載はないが、その制定権者が国民である以上、非合法な改憲政府の暴走に対し、国民の側につねに担保さるべきは明らかであって、その集合的な意思の力こそは護憲行為の最後の防塁である。護憲と革命とは、この局面において超法規的に交差しうる。
 憲法とはそれほどに重いものだ。一番そのことを理解しているのはむしろ改憲政府の側だろう。彼等の改憲案が「第一条」で「象徴」を「元首」に置き換えているのには重大な意図がある。国民主権の位置の変更が為されているのだ。このことは私たちに、この国の真の〈革命〉が、まぎれもなく「第一条」の改正にこそ集約さるべきことを教えている。







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