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評者◆平井玄 評
<共(コモン)>の協働実験へ!
『さらば”近代民主主義”──政治概念のポスト近代革命』
アントニオ・ネグリ著、杉村昌昭訳
No.2864 ・ 2008年04月05日




 アントニオ・ネグリがやってくる。
 ──と言った瞬間に、「遅すぎた…」そして「大味な…」という声が四方八方から聞こえてくる。手練の読み手からネット言論にいたるまでの、そうした喧しい声にやや丁寧に応えることから話を始めてみよう。

「遅れること」の素晴らしさ
 五年前の二〇〇三年、マイケル・ハートとの共著『〈帝国〉』(以文社)が友人たちの手でようやく訳された直後、東京芸大上野校舎で持たれた読書会に参加した時のことをよく憶えている。学外のアーティストや芸術系の院生や学部生たちが大部分という会の性質上、話の方向はどうしても政治思想や社会哲学には向かわず、「マルチチュード」や「非物質的労働」をめぐるテーマに流れていく。
 それは自然なことである。この本に限らずネグリのすべての作品には、アーティストやその卵たちの体の中で疼く創造的な「傷」に触れてしまうところがある。もちろんドゥルーズやデリダにもその要素はあるが、労働や生産や主体に関わる彼の言葉は、とりわけ「何かを創り出したい」という若々しい神経の束を刺激するらしい。ドイツ美学の衣鉢を継ぐアドルノや彼との親近性を顕わにしたデリダとは異なる「ルネサンス都市」の温かな風が、アルプスの南から上野の森に向かって吹いてくる。
 ところが、である。「...







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