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評者◆秋竜山
パッとわかる四コマ漫画、の巻
No.3411 ・ 2019年08月10日




■新聞漫画といえば、四コマ漫画ということになるだろう。漫画には一コマとか二コマとか三コマの漫画がないことはないが、四コマ漫画ということになっているのは、一般的に内容がわかりよいということからだろう。特に新聞漫画における四コマ漫画は、起承転結を四コマにわけることによって誰にでもわかるという点がある。四コマというと、一目でパッとみてパッとわかる、そして面白いか面白くないかまで数秒のうちにわかるからだ。モタモタしていないということである。新聞といえばすべてニュース性をおいかける記事ということになるが、四コマ漫画では、ニュースとは関係なく、家庭内の日常性をおいかけている。家庭漫画が主流のようである。それを読者がよろこぶということからか新聞は家庭漫画が好きである。たあいない面白さである。そして、起承転結とは、昔、流行して今の時代、まったくきけなくなった浪曲の、〽何が、何して、何とやら、という図式によって内容がなりたっている。俳句では四コマではなく、五・七・五によって組み立てられている。これも四コマ漫画と同じように短い文学といわれるようにパッとみてパッとわかる。季語というものもあったりするが、俳句は季語のおかげで、すたれることはないようだ。季語をいれることによって五・七・五が生きてきて、季語がはいっていないと、「季語がはいっていませんですね」なんて、いわれてしまう。同じ五・七・五であっても、川柳には季語がなくても問題がないようだが、「ちっとも面白くなく、笑えませんね」なんて、いわれてしまう。
 齋藤孝『50歳からの音読入門』(だいわ文庫、本体七〇〇円)に、小林一茶の俳句がとりあげられている。
 〈小林一茶は約二万もの俳句を残しています。〉(本書より)
 二万もの季語入りの五・七・五である。もしかすると、口から出る言葉は、五・七・五になっていて、必ず季語入りということではなかろうか。
 〈ゆうぜんとして山を見る蛙哉
 大螢ゆらりゆらりと通りけり
 一星見つけたやうにきじの鳴
 むらの蚊の大寄合いや軒の月
 小坊主や袂の中の蝉の声
(他、略)〉(本書より)
 どの句をとっても、まるで漫画のような笑いがある。一コマ漫画の笑いである。そして、どの句も四コマ漫画仕立てにできるということだ。そして、川柳にも通ずる笑いがある。もっとも日本的な風景がある。外国の漫画にはこのような内容のものがない。外国の漫画で、暑い日、木にとまっているセミが、ひっきりなしにミーンミーンとないているなんてみたこともない。日本人であれば、セミがミーンミーンと鳴いているだけで満足できるし、縁側の風鈴が、時折り、そよりと吹いてきた風でリーンと音をひびかせる。そんな漫画も外国にはないだろう。第一、外国に風鈴があるのかないのか。もし、日本から風鈴を外国へ持っていって、窓辺につるしてみても、リーンと鳴るだろうか。まず鳴ることはないだろう。鳴ったとしても変てこなリーンという音であったりして。風鈴を、五・七・五でリーンリーンと鳴らせただけで立派な俳句になるだろうし、四コマでリーンリーンと鳴らせただけで四コマ漫画になるだろう。もちろん日本においてでなければムリ無理。







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