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評者◆秋竜山
ザンコクな笑い、の巻
No.3396 ・ 2019年04月20日




■電気イスと、いったら、まっさきに頭に浮かぶのは、マンガの電気イスである。現実の電気イスなど写真では見たことはあるものの、本物は見たこともない。マンガの電気イスだったらよく見たものであったが、今そのようなマンガを見る機会もない。電気イスをテーマにしたマンガ(一コマ物)は、まったく見る機会がない。マンガでは忘れさられてしまったのだろうか。もちろん、アメリカ・マンガであって日本マンガに電気イスのマンガなど一度も見たことがないように思える。なぜ、日本マンガに電気イスを扱ったものがないのか、理由はよくわからない。
 歴史ミステリー研究会編『教科書には載せられない 悪魔の発明』(彩図社文庫、本体六四八円)に、電気イスのことがのっている。電気イスといえば死刑に使うものと決まっている。一般家庭に電気イスなどあるはずがない。あったとしたら、殺人を目的とするためにだろうか。イスで電流が流れるのは「グイーン、グイーン」と音をたてて体をもみほぐすマッサージ機である。電気毛布などというものがあるが、あきらかに電気イスとは異なる。
 〈世界には日本を含め死刑制度を採用している国も多いが、そんななか、アメリカの一部の地域のみで死刑執行に使われている道具がある。それが電気イスだ。〉(本書より)
 アメリカなどで死刑といえば電気イスということになるのかと思っていたら、そーでもないらしい。電気イスのマンガは本場アメリカであり、となると、アメリカ人が一番電気イスに座るのが似合うということになるのだろうか。日本は、「首つり」だろうか。もし、そーだとしても、死刑における「首つり」マンガもあまり見かけない。首つり物といったら一般人による首つりするマンガである。私の知る限りにおいては、昭和二十年代とか三十年代あたりにやたらと首つりマンガを雑誌などで見かけたものであった。マンガ家だったら一度は首つりをテーマにしたマンガを描いているだろう。それは、無人島マンガを漫画家である以上、描かねばなるまいというか、必ず描いてしまうというようなものである。
 昭和二十年代、三十年代頃に首つりマンガが多かったのは、当時、いろんな雑誌などで新人マンガ・コーナーをもうけていた。そして、マンガ家を志すものはこれに応募するわけだが、首つりマンガが多かった。審査員などが、「どーして、こんなに首つりマンガが多いのか」と、「またか」という調子であったが、もしかすると、首つりマンガは発想しやすかったのではなかろうか。それに、日本人好みでもあるようだ。「あの木の枝ぶりは、首つりにもっともいいようだ」なんて、つぶやく人がいたりして、それが日本人的であり風流感もあったりしたものである。あの枝にヒモをかけて首をつったら、絵になるだろう!! なんて、日本人でなければうまれない発想だろう。首つりというのは自殺行為であり、自殺するのに一番てっとり早いということになるのだろう。それをマンガにして笑いとする。つまり首つりというのはマンガ的であるだろう。実際の首つりなど見たことはないが、ヒサンで見るにたえないものだろう。それをマンガにして笑うのは人間の進化というものなんだろうか。電気イスもそうである。座ってできるからラクであろうなんて考えもあったりする。笑いというものはザンコクでもある。







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