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評者◆添田馨
暗黒の時代から漆黒の世へ⑭――構造としての〝アベシンゾー〟⑥
No.3379 ・ 2018年12月15日




■“バカトノ”は能力も知恵もないのに、なぜ“バカトノ”として現在の地位に留まっていられるのか。これまで考えてきたすべての謎を解くカギが、この問いのなかに隠されている。
 マスメディアによる内閣支持率の調査結果は、仮にマイナスに変動した場合でも、安倍政権にとってつねに強い味方たりえてきたと私は思う。だが、安保法制が審議され政権批判の声が一気に高まった2015年7月の調査でも、内閣支持率は25%(日経)あったという。国会前に抗議の人波がどれだけ押し寄せようと、総理大臣を辞任に追い込むことができなかった背景にはこの支持率があった。
 ここで根本的な疑問がおこる。内閣支持率とは、一体誰のためにある指標なのか? その数値結果によって、一番メリットを受け取るのは誰なのか? 少なくとも私やあなたではないだろう。内閣支持率を日本で一番気にしているのは、恐らく安倍総理本人だと思われる。
 メディアによって数値の異同はもちろんある。調査方法に微妙な違いがあり、そうした結果になる。しかし、今年7月19日の朝日新聞は、普段情報を取得するソースの違いが、回答結果に少なからぬ影響を与えることを報じていた。この事実は、内閣支持率(不支持率)は民意の正確な反映でも何でもなく、マーケティング調査のようなものであることを告げているのではないか。
 だから内閣不支持率が仮に100%になったとしても、この総理が自分から辞任することは100%ない。数値が悪ければ悪いなりに、彼を延命させる逆転現象がそこには生じるのだ。“バカトノ”は馬鹿をやればやるほどに喜ばれる。賢い“バカトノ”なんか誰も見たくないし、支持・不支持とか関係なく、国会で攻撃され愚かな答弁を行い、ときに逆切れする姿を大衆は待ち望んでいる。そしてこの期待値こそが“バカトノ”を増長させてきた“支持率”の正体なのではないか。この下世話な欲望を完全に除染しない限り、この不毛な構造も決して終焉しない。
(つづく)







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