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評者◆ベイベー関根
砂尾スナオ aka カワイ・ヘンドリクス、略して可愛変。――100%ORANGE『SUNAO SUNAO』
No.2932 ・ 2009年09月05日




 えーと、おおむね3ヶ月ぶりのような気がする……。その間、メビウスの『B砂漠の40日間』とか出たよねえ。でも、あれ高くってなあ。いや買ったけどさ。あと『ユリイカ』の「メビウスと日本マンガ」特集見てたら、なんかムカムカしてきてさあ。なんで「メビウス」特集じゃないわけよ? え、青山景? うーん……もうひと皮剥けてほしい感じかなあ。
 というわけで、今回は出たのがちょっと前で恐縮だが、100%ORANGE『SUNAO SUNAO』を取り上げさせていただく。
 100%ORANGEといえば、子供っちょいカワイげなイラストを描く人(たち)じゃんかと思った人、それは正しい。しかし、それだけでもないんだな。この『SUNAO SUNAO』では、100%ORANGEのダークサイド……とはいわないが、なんともいえずグニャグニャしたところが前面に出まくっているのだ! グニャグニャ……といっても、ご安心めされい、絵はいつもの感じだから。
 このマンガの主人公は、砂尾スナオくん、えーと、小学校低学年くらいなのかな……。作品は基本的にこのスナオくんがひとり遊びをしたり空想にふけったりする様子を延々と追ったり、後は気弱なコヨーテのCくんを邪険にしたりする、というもの。
 で、子供のひとり遊びっていうと、たいていその、夢いっぱい、とかさ、無邪気、とかさ、イメージ豊か、とかさ、そういう感じじゃないですか。ところが、この作品は全然そうじゃない! かといって、ことさらに残酷にしたり、これ見よがしにイメージに頼ったり、不条理を売り物にしたり、というふうにもならないところが面白いところなんですなあ。
 たとえば、この17話。長い行列を追っていくスナオくん、改札を抜けて、快速電車に乗っていくと……その行列が向かってるのは、スナオくんの家だった! そこでは知らないおじさんがスナオくんの布団で寝ているので、スナオくん奮然と布団を取り返し、自分がそこに潜り込む。終わり。
 え?……って感じでしょ。何のために行列してんの、とか。でも、全編こういう感じなんだよ、展開は唐突だし、オチ感に乏しいの。でも、突然ブツッと終わるっていうのともちょっと違うし、かといって、いわゆる夢っぽい感じでもない。残尿感みたいなミョーに後を引く感じ……。本全体で徹頭徹尾それを追求してるんだけど、これはどうもあんまりほかに見当たらない感覚なので、とにかく実際に読んでもらって体験していただくしかなさそうだなあ。
 なんてまー、エラそうなことを書いてきたが、実はこのマンガ、この間作家のFさんに教えていただいたのだった。この連載では、基本的に人に教えてもらった作品は扱わないのだが、これは全然ノーマークで、しかも本当に面白かったので取り上げたしだい。Fさん、ありがとう! といってもイニシャルトークだから、わからないか。まあいいっす。
(セックスシンボル)








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