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評者◆井出彰
日本の宗教史の新たな断面を提示──江戸末期に活躍した徳本上人、その実践活動の実態をつぶさに調査・報告
念仏行者と地域社会──民衆の中の徳本上人
西海賢二
No.2878 ・ 2008年07月19日




 円空や木喰の名は知っていても、徳本の名を知っている人は稀だ。本書の中でも、先年の宗教学会において著名な学者が堂々と徳本上人を貼り薬のトクホンと混同していた事例を挙げ、これは笑い話ではなく現実にあったことだと紹介している。
 徳本上人は江戸時代後期(一七五六~一八一八)に関東の農村を中心に活躍した念仏行者で、彼の遺徳は今日でも「トッコン講」などと呼ばれて各地で念仏講が行われ、数限りない供養塔が建てられている。また彼は念仏行のために木食行を実践しており、蕎麦と人参しか口にしなかったため、伊那谷周辺では、今日でも徳本上人をしのぶ念仏講では御供え物として蕎麦と人参を供えている、という。
 彼の系譜を辿ると近世聖と仰がれる弾誓上人にさかのぼるという。弾誓は尾張の国に生まれ、九歳の折忽然と世の無常を悟り、出家に反対する母に会者定離の理を述べ、二十有年山に籠って過ごしたあと、諸国を行脚した。その足跡は、熊野本宮、佐渡、信州、甲州、相州など箱根の塔の沢、阿弥陀寺に残る「弾誓上人絵詞伝」に記されている。弾誓は慶長九(一六〇四)年箱根の塔之峰に至り、洞窟に籠り、日夜念仏三昧に明け暮れた。当時の小田原藩主・大久保忠隣の庇護を受け、洞窟の数百メートル下に一宇(阿弥陀寺)を建立した。徳本が信濃での修...







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