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評者◆米田綱路
黒インキの魔術と闘い真実に生きた風刺家──ウィーン文化に育まれ、ウィーン精神を育んだカール・クラウス
世紀末ウィーンのユダヤ人──1867-1938
スティーヴン・べラー  著 桑名映子 訳
黒魔術による世界の没落
カール・クラウス 著 山口裕之・河野英二 訳
No.2878 ・ 2008年07月19日




 世紀末ウィーンが生んだ稀代の論争家にして風刺家、カール・クラウスをジャーナリストと呼ぶことが、はたしてふさわしいかどうかは疑問である。なぜなら、彼ほど辛辣かつ執拗にジャーナリズム批判を行い続けた人間は、ちょっと他には見あたらないからだ。彼自身、『黒魔術による世界の没落』に収められたエッセイ「あいつぁユダヤ野郎じゃねえか!」のなかで、こう述べていた。
 「私は多作家であり、私のもとではあらゆる活字が傷痕に変わる。であるとすれば、私がジャーナリストであるなどと主張することが誰にできよう」。
 クラウスのジャーナリズム攻撃は、一八九九年に「文学狂で完全な政治オンチの新参者」と自称した彼が個人誌『炬火』を創刊して以来、一九三六年の死まで飽くことなく続けられた。
 『闇にひとつ炬火あり――ことばの狩人カール・クラウス』(筑摩書房、一九八五年)で池内紀氏は、「ジャーナリズムの悪をあばきたてるのに精力の大半を費やした」彼のことを、ジャーナリスト・クラウスと呼んでいる。たしかに、ジャーナリズムの悪をこれほどまでリアルタイムで批判した彼は、書かねばならないことを書き続けた、どこから見ても正真正銘のジャーナリストだった。いや、こういう言い方が許されるならば、ジャーナリズムがもたらす「黒魔術」の悪...







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