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思想
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隠されたメッセージ
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書籍・作品名 : 国語教科書の思想
著者・制作者名 : 石原千秋
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きの
19才
女性
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国語の教科書に掲載されていた作品と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。動物が主人公の物語、戦争をテーマにした道徳的作品…。それらの作品はどのような意図で選ばれ、どんなメッセージが込められているのか。本書『国語教科書の思想』では自身も教科書編集委員を務める石原千秋によって、現在の小学国語及び中学国語教科書が検証されていく。
著者の石原千秋は1955年生まれ、文芸学部成城大学国文学科卒業。成城大学大学院文学研究科国文学専攻博士課程中退。東横学園女子短期大学助教授、成城大学文芸学部教授を経て、現在、早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専攻は日本近代文学。著書に『反転する漱石』『漱石の記号学』『テクストはまちがわない――小説と読者の仕事』『秘伝 中学入試国語読解法』『小説入門のための高校入試国語』『評論入門のための高校入試国語』『大学受験のための小説講義』『漱石と三人の読者』などがある。
作品の考察に入る前に、本書ではまず読解力低下の問題を取り上げている。PISAの「読解力」試験の結果を通して現在の国語教育が道徳教育に傾いていること、文学の「批評」を通して「個性」を育てる必要があると主張する。確かに、小学生の頃を思い返してみれば先生とは絶対的存在であった。授業で教えられること、及び教科書に書いてあることはいつも正しいのだと。いわゆる教科書の答えは1つしかない。著者はそのことに問題があると主張するのだ。
また、意図的に作られたのではなく、無意識のレベルで作られた国語教科書が偏った思想を隠していることが問題であるとも述べている。その一例を紹介しよう。
「体の弱いお父さんまで、いくさに行かなければならないなんて。」(『ちいちゃんのかげおくり』)、「あまりじょうぶでないゆみ子のお父さんも、戦争に行かなければならない日がやって来ました。」(『一つの花』)。…(中略)…
この二つの表現を読んだなら、こう反問したくなるだろう。「若くて体の丈夫な男性なら戦争に行ってもいいとでも言うのだろうか」と。もちろん、それはおかしい。どんな人間であっても、戦争に行ってはいけないのだ。しかし、先の二つのレトリックは、極端に言えば「若くて体の丈夫な男性なら戦争に行ってもいい」という思想が背後になければ決して成り立たないものなのだ。もう少し穏やかに言うなら、「若くて体の丈夫な男性が戦争に行くのなら、順番だから仕方がない」という思想が背後になければ、悲しみを強調するレトリックとしては決して成り立たないものだということになる。
小学国語の分析の対象となるのは最も採択率の高い光村図書(2002年度調査で採択率6割強)の2004年度の一年生から六年生までの教科書全十二冊。中学国語については光村図書『国語』、三省堂『現代の国語』の二冊である。この教科書を実際に使った読者は勿論、もし使っていなくても簡単なあらすじが紹介されていたり教科書に収録された本文の一部が掲載されているので雰囲気がつかめるようになっている。
小中学生時代を懐かしむのもよし、教育問題を考えるのもよし。紛れもなくそれは読者の「個性」。もう捨ててしまった国語の教科書。そこには何が隠されていたのか。
自分の意見を言うことができない人が多いというこの時代。著者のいう「批判精神」を持つことは、教育の分野だけでなく、あらゆる面で必要になってくるだろう。
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