|
ノンフィクション
|
|
「タイタンズを忘れない」
|
|
書籍・作品名 : 「タイタンズを忘れない」
著者・制作者名 : グレゴリー・ハワード
|
|
N.Y
19才
男性
|

|
人種の壁を乗り越え、奇跡を起こした若者たち
物語の舞台は1970年代、人種差別撤廃の公民権運動が盛んなアメリカ。ヴァージニア州の田舎町アレクサンドリアでは白人学校と黒人学校が初めて統合したT・Cウィリアムズ高校が開校する。そして、アメリカンフットボールチームも統合し、「タイタンズ」が結成される。チームのヘッドコーチに就任したのは、教育委員会から派遣された黒人コーチと白人高校のコーチだった白人コーチ。彼らの指導によってチームは人種の壁を乗り越えながら、快進撃を続けていく。しかし、それは驚くべき奇跡のほんの序章にしか過ぎなかった・・・。
本書は人種差別が大きな問題となっていたアメリカで実際にあったエピソードを基にして描かれている。当時のアメリカは、ローザ・パークスのバス・ボイコット事件やキング牧師のワシントン大行進などの影響を受けて、黒人に対する差別が見直されようとしていた時代である。しかし差別を是正する措置がとられ始めても、人々の意識は簡単に変化するものではない。アメリカ植民地時代にまで遡る黒人差別は、脈々と受け継がれていて、その流れを断つことは容易なことではないのである。本書には黒人の家に白人が突然銃を乱射するなどの暴力的行為が描かれており、現在では考えられないような差別行為が平然と行われていたのである。
人種混合の新生チーム「タイタンズ」も初めは人種間の軋轢がたえなかった。肌の色が違うというだけで差別が生まれ、お互いの意思疎通は皆無であった。それは、アメリカンフットボール(以下アメフトと記す。)という競技において、致命的な欠点である。アメフトとは簡潔にいうならば、球技と格闘技の要素を併せ持った競技である。また、同時に緻密な作戦も用いられチームメイトとの連帯感や信頼関係が他のどのスポーツよりも重要である。もし「タイタンズ」がこのまま変わらなかったならば、試合での勝利だけでなく存続すら危ぶまれていたであろう。
しかし、そんな「タイタンズ」を変えることができたのは、ゲティスバーグ大学への合宿で、南北戦争の戦地ゲティスバーグの丘にチーム全員を集めて黒人コーチが述べた言葉にある。「ここで5万人の若い黒人と白人の将兵が死んだ。すべての人が自由に生きる世の中の為に。それなのに戦いは今も続いている。もし互いが一つにならなければ、我々は終わるだろう。お互いを好きになれとはいわないが尊重しあえ。そうすれば、人間らしい関係が築けるはずだ。」この言葉には、同じ目的があれば、黒人と白人が人種を超えて手を携えることができるという意味が込められているのではないだろうか。これを機に「タイタンズ」のメンバーは勝利という目的の為にお互いを認め合い、やがて人種を超えた固い友情と信頼を手にすることができたのである。そして、チームが連戦連勝することで生まれた奇跡。それは、チームの勝利がアレクサンドリアの町にあった人種の壁を取り除き一つのチームの下、町をひとつにまとめたことにある。
現在のアレキサンドリアの町は、大都会に比べて著しく人種差別がないことで知られているという。なぜなら、人種問題によって意見が衝突しそうになると町の人々は「タイタンズ」の事を思い出し、最悪の事態を避けようとするからだ。三十年以上たった現在に至るまで、「タイタンズ」の友情と信頼の精神が受け継がれているのである。本書のテーマのひとつとなっている差別問題。それは、今もなお世界中のいたるところに存在する。しかし、人種の壁を打ち砕いた若者たちの精神はいつまでも人々の心に残り、差別問題を解決する希望の光であり続けるであろう。互いを尊敬しあうことで人はどんな困難でも乗り越えていくことができると教えてくれる一冊である。 |
|
|






|
図書新聞出版 最新刊 |
|
森山大道 写真集「NORTHERN2」
|
シリーズ 六〇年代・七〇年代を検証する(1)柄谷行人 政治を語る (聞き手 小嵐九八郎) |
東大2010―東大が創る人たち、東大を創る人たち (東京大学新聞社編) |
|
|
書店別 週間ベストセラーズ (8/22~8/28) |
|
■東京■東京堂書店様調べ |
|
1位 |
呉越春秋 湖底の城 第一巻 (宮城谷昌光) |
2位 |
シューマンの指 (奥泉光) |
3位 |
活字と自活 (荻原魚雷) |
|
|
 |
| ■青森■成田本店様調べ |
|
1位 |
母 (姜尚中) |
2位 |
くじけないで (柴田トヨ) |
3位 |
終わらざる夏(上) (浅田次郎) |
|
|
|
| ■新潟■萬松堂様調べ |
|
1位 |
『教行信証』を読む (山折哲雄) |
2位 |
くじけないで (柴田トヨ) |
3位 |
伝える力 (池上彰) |
|
|
 |
|